専門医シリーズ

臨床の中での病理医

専門医シリーズ7

石津 英喜 医師

プロフィール

1992年 群馬大学医学部卒業。同年埼玉協同病院入職。2003年 東京医科歯科大学大学院病理学修了。医学博士。2004年 かすかべ生協診療所所長。2007年 埼玉協同病院帰任。現在病理科部長。

認定資格●

日本病理学会病理専門医研修指導医/日本臨床細胞学会細胞診指導医/日本内科学会総合内科専門医/がん治療暫定教育医

病理には、内視鏡や手術などで採取した臓器や組織を顕微鏡で診断する病理組織検査と、喀痰や尿などに含まれる粘膜・病変部から採取した細胞を診断する細胞診検査、死因の解明などを行う病理解剖の3分野があります。石津医師は、診療現場に近い所でカルテのデータも直で見て、患者さんの生の情報も含めた総合的に診断をできる病理にこだわります。

年間7,000件

「年をとってもやってる人が多いからでしょうかね。若い人がもっと増えてほしいね」そう笑う病理科の石津医師。埼玉協同病院の病理科は、院内と法人内の診療所などから年間約7,000件の病理検査を見ています。正常と異常の区別がつきにくいリンパ節、リンパ腫は分類も多く、週1回は大学の医師と相談しながら結果を出しています。

解剖 ~役割の変化~

石津医師の研修の頃は、内科診療をやって解剖を手伝い、標本を見に行って、好きな時間に他の部署に行っていました。今は、埼玉協同病院のように垣根を低くしていても、専門分化の中でそこまでできにくくなっています。CTもない昔は解剖で初めて何のがんかがわかる解剖オンリーな時代でした。今はCTの画像でほとんどわかります。解剖で何かが見つかることも多いと言いますが、今は、検査で細かい所を詰める仕事になり、病理のかたちが全く変わりました。

早期発見

自分は「がんを見つけ、正確に結果を返すことが仕事」ときっぱり。埼玉協同病院のシステムで、大腸がんの再検査で大腸がんが見つかった人の率から、再検査を受けていない人の数を当てはめると、あと100人ぐらい大腸がんが見つけられるかもしれないという結果もあります。医療生協さいたまでは、各事業所が懸命に健康診断をすすめ、顕微鏡で見て、内視鏡で病気の部分を切除し数日で帰っていただくことに力を入れています。このシステムは県内でもそう多くはありません。

モチベーション

「やりたいことができる埼玉協同病院だから頑張れてきた」と思う石津医師は「内科を見ながら病理やって、自分で細胞をつまんできて、自分で見て、結果も自分で返す。すべてやるのが面白い」とも言います。病理医は大学から出ずに研究、中小病院は病理のポストを置かず週2~3回アルバイトでつなぐことが多いといいます。しかし、がん拠点病院などでは病院に必要な部署として病理医の配置が最近義務化されました。
石津医師は、中小病院の病理医は、診療をやる中での病理に意味があり、そこに興味を持てないとモチベーションが保てないと考えています。
自分で顕微鏡を見て診断をつけるのも、正しい診断で、正しい治療に結びつけるため。そして、精度と速さが患者さんのためになるからです。そこでの医者の視点、自分の技術、知識の広がりを確信しています。

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