機能評価診療実績

1-1_外来患者の満足度(2012年4月)

クリニカルインディケーターとは、医療の質を定量的に評価する指標のことで、医療の質の良否を客観的に測ることのできる「ものさし」にあたります。今回は患者満足度について報告します。

外来患者さんには10月の12,13の2日間、入院患者さんには10月3日~30日の間に退院された患者さんにアンケートを実施しました。
外来患者さんの結果では、「医療機器や医療設備は十分だった」「診察・会計・薬などの待ち時間はがまんできるものだった」という質問の満足度が低い結果でした。より充実した設備で早く診療を終えたいという要望が反映されていると考えられます。一方で「受付や会計係には声をかけやすく、聞きやすかった」「医師には、わからないことを聞きやすかった」という質問の満足度は高い評価をいただいています。

入院患者さんの結果では「入院中の食事は満足できるものだった」「退院時に払うおおよその費用は事前に知らされていた」「入院中の学習や療養で退院後に活かせるものが十分得られた」については低い満足度でした。食事に関しては管理され制限された病院食であるということが満足度の低い要因であると思われますが食養科で実施している満足度調査の結果との違いを検討し、満足度の向上を目指していきたいところです。退院時費用の概算については経済的負担を考慮しできるだけ早めの提示を検討し、退院後のよい療養生活につながる援助を工夫し充実させる必要があることがわかりました。
「医師の診断や治療は納得できるものだった」「職員の言葉遣いや服務態度はよかった」という質問項目は、入院患者さんにおいても職員の評価をいただいています。

今回の満足度調査では要望を反映した結果を得られることができ、各質問項目の質を高めていく課題がみえてきました。医師の診療や職員の対応については高い評価をいただいており嬉しく思います。今後も患者さんの痛みや不安に寄り添った医療を提供し続けられるよう努力していきます。

(診療情報部)

1-1_質の高いケアを提供する医療サポートのための認定・専門資格(2012年6月)

クリニカルインディケーターとは、医療の質を定量的に評価する指標のことで、医療の質の良否を客観的に測ることのできる「ものさし」にあたります。今回は職員が取得している専門資格について紹介します。

2011年7月のふれあいでもご紹介させていただきましたが、たとえば糖尿病療養指導士は10名おり、糖尿病チームの中で患者さんの療養をサポートしています。自己血糖測定、インスリン注射の手技など患者さんに合わせた指導により、血糖コントロールの改善につながっています。
呼吸療法認定士は、看護師・臨床工学技士・理学療法士の中に7名います。 人工呼吸器を装着している患者さんの状況を多職種で共有し、患者さんの肺の状態に合わせた呼吸器の設定の調節、ベッド上でも肺のふくらみをできるだけ補助し、スムーズに痰を排出できるようなリハビリテーションの実施などにより、人工呼吸器をできるだけ早くはずすための取り組みをチームで行っています。
栄養サポートチーム専門療法士は、管理栄養士・薬剤師の中に3名います。入院患者さんの中には、点滴による静脈栄養を行っている方が少なくありません。患者さんの栄養状態をきちんと評価し、可能であればご自身の胃や腸から栄養を取れるような方法を提案しています。この方法によって住み慣れた在宅生活への移行がスムーズにできる患者さんも増えています。

資格名称 認定機関 当院での取得者数 取得者の職種
栄養サポートチーム専門療法士 日本静脈軽腸栄養学会 3 管理栄養士、薬剤師
日本糖尿病療養指導士 日本糖尿病療養指導士認定機構 10 看護師、薬剤師、管理栄養士
呼吸療法認定士 日本胸部外科学会/呼吸器学会/麻酔科学会 7 看護師、臨床工学技師、理学療養士

他の認定・専門資格として主なものに、学会認定医や認定看護師・専門看護師などがあります。これらは、一般的な力量を備えた上に、数年間の専門分野での実践を積み重ね、研修期間を経て認定試験に合格してはじめて取得できます。医師や看護師の国家資格は、一度取得してしまえば永久資格ですが、ここで紹介したそれぞれの資格は永久資格ではなく、再更新の制度を持っていることも特徴です。取得した後も関連した実務や一定の講習・研修の習得などが必要、つまりその分野において学び続けることが資格の条件ともいえます。職員がこれらの資格を維持するために取り組むことが、結果として患者さんに提供するケアの質向上につながるよう、今後も専門資格取得者の力量の強化に努めていきたいと思います。

(診療情報部)

1-1_入院患者の満足度(2012年5月)

ただいま工事中

1-2_特定耐性菌の発生を監視して予防(2012年10月)

2007年7月から厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業に参加して、特定の耐性菌検出状況や耐性菌による感染症の発症状況を監視しています。早期に察知して感染の拡大や発生予防につなげるためです。この事業には476の病院が参加(2011年)し、注意が必要な細菌が発生した場合には全国の医療機関に情報発信され注意喚起されます。
医療スタッフは、患者さんのケアにあたるとき、手洗いや手指消毒をしっかり行い、医療スタッフの手や器具を介して病原菌が伝播しないように予防をします。これには患者さん自身や面会の方にも協力していただくこともとても重要です。
監視している特定の病原菌は現在6種類ありますが、発生するのはほとんどがメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)という菌です。この菌は、環境中にも多く存在していますが、免疫力の低下した患者等が感染した場合には、治療が有効な抗生剤が限られているためときに重大な結果を招くことがあるのです。図は、当院と全国の各月に入院した全患者千人中のMRSA 感染者の割合と、ブドウ球菌の耐性率です。
当院がこの事業に参加し始めた年は(MRSA)による感染者は全国値を大幅に上回る状況でした。あらためて、感染対策チームを中心に院内の感染予防に関する手順をみなおし、全職員が徹底して感染対策を進めてきました。その結果、2010年には全国値を下回ることができ、耐性率も2011年には全国と同水準の60%まで低下しました。とりくみの効果が有効であったことがわかります。

2-1_安心して手術を受けていただくために~手術室の看護(2012年11月)

ただいま工事中

2-1_安全で適正な輸血療法を推進するために(2012年12月)

ただいま工事中

5-1_安心・安全の療養環境を準備するために~退院支援のとりくみ(2012年9月)

ただいま工事中

7-5_整形外科の指標(2012年2月)

整形外科は2008年10月以降外来診察・手術・入院対応力の拡大に取り組んでいます。整形外科疾患領域における後期高齢者(75歳以上)の手術件数(図1)は年々増えています。
高齢者大腿骨頚部骨折術後の再歩行獲得率(図2)は2010年度50%(図中%)で前年度より下回りましたが、獲得人数は増えています。手術を受けた方の平均年齢が84.9歳(前年度平均82.3歳)とあがった事や認知機能に障害があるとリハビリテーションでの成果が上がりにくいことが考えられます。高齢者の大腿骨頚部骨折は転倒に起因することがほとんどです。セラバンドヤレインボー体操といった転倒予防につながる体力づくりは多く支部で取り組まれていますが、改めて転ばぬ身体作りの大切さがこの指標からもうかがえます。

次に整形外科疾患領域における難易度の高い手術件数〈関節/脊椎〉(図3)です。難易度の高い手術とされる人工関節、脊椎の手術はそれぞれの専門医が手術を対応しております。特に人工関節の手術はコンピュータ手術であるナビゲーションシステムを採用し、正確な手術を心がけております。結果も良いことから近隣の方だけでなく遠方からも当病院を選んで手術を受けに来ていただいている方も少なくなく、職員もやりがいにもつながっています。

7-8安全で安心なお産をめざして(2012年8月)

当院の産婦人科は、総合病院として小児科や精神科も有しているため、他院からの合併症をお持ちの妊婦の紹介が増えています。妊娠・分娩に関連する合併症を持つ妊婦の比率は、2008年は850件以上の分娩件数に対し18%でしたが、2011年では561件の分娩件数に対し20%と上昇しています(図1)。その中でも近隣の医療機関からの紹介も含めリスクを抱えた妊婦の比率が増えています。

合併症の内訳は、図2 のように高血圧、筋腫、精神疾患、糖尿病、肥満となっています。地域から必要と されている産婦人科であることがわかります。昔、妊娠は病気ではない自然なものであるといわれていました。しかし、出産年齢の上昇や一人の女性の出産回数の減少により妊娠・出産は貴重なものであると同時に母体や胎児にも危険と隣り合わせになっているといえます。当院でも出産年齢は35歳以下が60%から40%に減少し、35 歳以上が9%から12%に増加しています。そのような中で、外来での妊娠管理が非常に大切で、医師・助産師・栄養士などが、妊娠経過を見させていただいています。
帝王切開は、2008年は18%だったのが2011年は26%を超えています(図3)。原因として、前回帝王切開の妊婦様が増えてきていることや、母体年齢の上昇・合併症の増加などが考えられます。
当院では立会い出産を経膣分娩・帝王切開とも行っていますが、図4にもあるようにどちらの場合90%を超えるご家族や夫の立会いが行われています。帝王切開については、状況に応じて手術室と医師の許可のもと、準緊急な帝王切開でも夫のみ立会いができるようになりました。分娩室で上の子に見守られながら、手術室ではご主人に見守られ、ご家族で見守れるお産を継続していきたいと思います。

7-15,8-3_安全ながん治療のために~薬剤科の指標(2012年7月)

今回は薬剤科の指標のうちがん治療の指標を紹介します。
がん治療において薬物療法は大きな比重を占めています。抗がん剤治療(化学療法)を受ける方は年々増え、3年前と比べると月々の件数は2 倍(図1)、患者数は2.5 倍になりました(図2)。化学療法に使用する薬剤は、他の薬剤よりも厳格な管理が求められます。
人体に対する影響が大きく、患者さまにも取り扱う職員にも特に注意が必要になります。
有効で安全な治療を行うためには、薬剤師が特別な設備で調剤することが求められています。調剤時のリスクが最も高いためです。
がんの種類や状態によって、有効な抗がん剤の組み合わせや投与方法が異なります。がん種ごとに確立された標準的な治療法(プロトコール)を院内のルールで定めて、安全に実施できるよう注意事項をわかるようにしています。様々ながん種や状態に対応できるよう、実施できるプロトコールの整備を進めてきました(図2)。
現れやすい副作用やまれだが重篤な副作用等の情報提供は薬剤師が行います。副作用はすぐに出現するものばかりではありません。使用薬剤や投与回数によって好発時期も異なります。繰り返し投与したときの毒性が強く、総合計量の上限が決まっている薬剤もあります。治療開始時に必要な検査や説明を行うのはもちろんのこと、患者さまやご家族との相談機能を多職種で担っています。
飲み薬の抗がん剤についても同様です。院外薬局の薬剤師と連携して、学習会を開催したり、患者さまの状態について情報共有を行い、スムーズに相談に応じられるようにしています。こうした取り組みの中で、以前は必ず入院して行っていた治療が外来でできるようになりました。ご自宅で生活しながら治療を続けたい方の希望を実現しています。

8-4_リハビリテーションの指標~必要な人に、より早く(2012年1月)

リハビリテーション科は身体機能向上のほかに、長期入院による体力低下の予防や退院後の生活支援のため各病棟に担当をそれぞれ配置しています。特に高齢者の場合では入院し、寝ている時間が長いとすぐに体力は低下し、起き上がることも大変になり歩けていた方が歩けなくなってしまうことがあります。
入院前の生活に戻れるような体力回復のためリハビリを実施しています。また疾患により障害が残ってしまうこともあり、安全な動作方法を患者様ご家族と確認し、相談員と連携して退院後の支援方法を他機関と調整した上で退院に繋げています。
クリニカルインディケーターとしては入院患者様へのリハビリ実施割合(図1.介入率)、入院からリハビリ開始までの平均日数(図2)、平均実施時間(図2)を調査しています。2009 年から調査開始し、回復期・産婦人科・検査入院を除く入院患者様を対象としています。介入率は2009年では2割、2010年では3 割、2011年では4割と増加してきています。

各病棟担当は入院時から病状や生活状況を把握し、医師・看護師と協力して早期にリハビリを開始し、必要な方には休日も実施することで介入率の上昇につながっています。開始までの日数も短縮し、患者様一人あたり一日の訓練時間も少しずつですが増えてきています。

今後も医師・看護師・他関係職種と連携して早期にリハビリを開始し、患者様の早期退院を目指していきます。

8-5_食事満足と栄養管理(2012年3月)

食事は入院生活の楽しみでもあり、栄養管理の基本でもあります。食養科では毎年、食事患者満足度アンケートを実施して食事の改善をしています。その時に入院している患者層により影響を受けますが、概ね「満足」「やや満足」で7 割程度の回答を受けています(図1)。調査した傾向や意見から入院中の食事内容を検討し、材料から盛り付けまで課題をみつけ改善して食事満足度の向上を目指しています。
また、いくら栄養計算し献立を立てていても食べていただけなければ意味がありません。
喫食率も定期的に調査して、改善の効果など評価しています。(図2)。

次に埼玉協同病院では、NST(栄養サポートチーム)が稼働しています。NST とは特に栄養状態の悪い患者様に多職種でかかわり、栄養状態の改善を促進するためのチームです。絶食の患者様に対して早期に食事を開始する取り組みもしています。(図3)クリニカルインディケーターでは、低栄養の指標とされるアルブミン2.8g/dl 未満の方が3.0g/dl 以上に改善された割合を調査しています。食事が食べられる患者様だけでなく、中心静脈栄養や経鼻経管栄養の患者様も対象に栄養管理を行い徐々に栄養改善率も上がってきました(図3)。

これからも患者様に適した栄養管理方法を選択し、退院に向けて活動をしていきたいと思います。

(診療情報部)

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