2016年季刊ふれあい春号特集 患者と医療者の協同 マイかるて

医療生協や民医連では「医療の主体は患者さん。情報も患者さんのもので、医療にとって情報共有は必要不可欠なこと」と考えてきました。紙の時代には見ることができたカルテが2004年の電子化によって職員に伝えなければ見られなくなっていました。「混んでいるから先生に聞きにくい」そんな患者さんとのコミュニケーションを促進しようと、パスワードで自由に見られるマイかるてを2011年8月からはじめています。より使い勝手のよいマイかるてへ、モニター員制度を取り入れて改善を進めています。今回2人の登録者にお聞きしました。

Aさん

僕は5年前ぐらいに入院してますけど、まさかこんな情報が手元で直接見ることができるなんてびっくりしました。内視鏡の画像写真とか電子カルテで見られるようになっていますから、非常にショッキングなぐらい驚きました。最初は専門用語が多くて、ほとんどわからなくて、一応メモしたり、自分の携帯電話で画面を写したりね。帰ってきて、それで英語の辞書を見て入力してました。今ではプリントもできます。トイレで立ちくらみがして転倒したとか、そういう看護師さんからの情報も、検査結果とか電子カルテはほとんどリアルタイムで全部出ているんですね。時系列で。僕は入院生活で日記をつけて全部メモしていますが、病院内のことはカルテにほとんど書いてありますから、わざわざメモはする必要がないくらいリアルに正確に出てきます。デイサービスでも、協同病院にはマイかるてがあるよって言うんですけれど、初めて聞く人結構多いんですね。まだ理解がそんなには進んでいないですね。通っている医療マッサージの情報も協同病院に送って見てもらえる、そんな連携があるといいです。自分の情報を見ることで健康維持への気持ちが強くなりました。

Bさん

自分のカルテを見られるって紙の段階でも経験なかったので、開示というすごく開かれたシステムだし、病院の在り方に興味持ちましたね。今回モニターを通じて自分が言ったことが反映されているかチェックしてくださいって言われました。驚いたのは、患者本人の主訴、検査結果に基づいた分析、診断、治療方針、それをちゃんと患者に伝えたかまで書いてありました。先生から「こうしましょうね」「こういうことを気をつけて」というようなお話がありましたが、その時はメモしませんし全部覚えられない。それが、診察室出て数分後にもうすぐにリアルタイムで、こういう指示をしたと書かれてあるので、そうだったとそこで自分でメモしたりできます。病院側は、大変なリスクと労力を使われながらも開示をする。相当な覚悟っていうのがあったと思います。書き方とか自分自身の言い方がどうかとか、大変な部分もあるでしょうが、今までの医療では大きかったバリアが、すごく身近に自分を受け止めてくれていると。自分が信頼したお医者さんなら、例えうどん粉の粉を出されても、その人に言われたら効くんじゃないか、ぐらいに信頼が置けます。(笑)
「はいお薬出しておきましたよ」っていうだけの病院とは、やっぱり全然違うと思うんですよね。

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