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Ⅵ.研究業績
Ⅰ.概要
Ⅱ.委員会任務
Ⅲ.医療経営統計
Ⅳ.診療科活動状況
Ⅵ.研究業績
Ⅴ.部門の活動状況
価し治療の方向性を検討するための検査。血管石
灰化の影響を受けにくいことや、糖尿病を有する
維持透析患者の無症候性重症虚血肢の早期発見に
重要な検査のひとつ。SPP40㎜Hg以下で虚血
が存在し、30㎜Hg以下になると救肢が困難になる。
40㎜Hg以上が創傷治癒の目安であり、それ以下
の場合は下肢血流の改善が必要となる。
足関節上腕血圧比(ABI)とは足関節と上腕
の収縮期血圧の比であり下肢の血流を評価する検
査。0.9~1.3が正常で0.9未満を血流障害と判断。
しかし糖尿病患者や透析患者は石灰化の影響が強
く正常より高い値となることがある。偽正常値と
して1.3以上の場合は動脈壁の石灰化を疑う。
Ⅲ.目的
PADのリスク分類において、従来の指標であ
るABIだけでなく、SPPを指標とすることの
有効性を検証することを目的とした、
Ⅳ.対象
2014年12月現在のA病院外来維持透析患者
59名(男性29名、女性30名)
Ⅴ.データ収集および分析方法
1.2014年5月フットチェック実施(項目:動脈
触知、フォンテイン分類、タッチテスト、皮膚色、
皮膚温、創傷の有無、爪の異常、セルフケア内容)
ABI・SPP測定
2.日本透析医学会の末梢動脈疾患ガイドライン
キーワード:①皮膚毛細血管還流圧
②末梢動脈疾患 ③透析患者
Ⅰ.はじめに
透析患者の合併症のひとつに血管の石灰化や動
脈硬化の進行による末梢動脈疾患(以下PAD)
がある。糖尿病・高齢化・易感染状態など複数の
リスク要因により透析患者の足病変は重症化しや
すく、重症下肢虚血や下肢切断に至る可能性が高
い。2013年度よりA病院透析室では、足関節上腕
血圧比(以下ABI)を指標とした下肢の血流評価・
PADのリスク分類を標準化し、フットチェック
に取り組んだ。その結果、ABIは患者全体の足
病変のリスク状態の把握し、継続したフットチェッ
クを行う上で有効であるという結果が得られた。
一方で、透析患者にとってのABIは、偽正常値
や測定時の加圧による痛みなどの問題点があった。
今回、動脈硬化の影響を受けにくく末梢組織の
虚血評価に有効な検査の一つである皮膚毛細血管
還流圧(以下SPP)を導入し、ABIとSPP
の測定値を組み入れたPADのリスク分類を作成
し、下肢の血流評価を行い、その後の継続的なフッ
トチェックにつなげた。従来までのABIを指標
にした分類と比較検討した結果と今後の課題を報
告する。
Ⅱ.用語の説明
皮膚毛細血管還流圧(SPP)とは、毛細血管
レベルの血流測定により虚血肢の存在や程度を評
透析患者におけるABIとSPPを指標とした
PADリスク分類を用いたフットチェックの評価
埼玉協同病院 透析室
高橋千賀
(看護師)