診療科・専門外来・院内部門 外科
当院外科は、1978年の開設以来一貫して安全で良質な医療を提供することを目標に、地域に根ざした外科診療を行ってきました。現在、総勢12名で、消化器・一般外科、肺外科、乳腺外科(乳腺外科については別ページにも紹介がございます)の外科治療を幅広く実施しています。
近年は腹腔鏡手術にも力を入れており、癌の手術、緊急手術を問わず、その割合が増加しています。2016年からは肝臓手術にも腹腔鏡手術を本格的に導入しました。
一方で、癌の手術では長時間におよぶ大手術が必要になることがあります。また、近年は効果の高い抗がん剤が多数開発され、これまでは治癒困難だった癌も治る機会がでてきました。当院外科では腫瘍内科医師と協力しつつ、そのような困難な病気にも積極的に治療を行っています。
外科の3つの特長
1978年の開設以来38年間、消化管、肝胆膵、呼吸器、乳腺、ヘルニアなどの手術治療を実施しています。
個々の患者様に合わせた根治性と、安全性、低侵襲性に最も優れた治療を提供します。
急性腹症などの救急疾患に積極的に対応しております。
食道がん、胃がん、粘膜下腫瘍(GIST等)などの腫瘍性病変、手術療法を必要とする重度の食道裂孔ヘルニアなどを扱っております。基本的に、各疾患のガイドラインに則って治療を行いますが、患者さんの年齢・持病・意向などを考慮し、最も適した治療を行って参ります。
胃がんに関しては、粘膜内がんの方には内視鏡的治療を行います。内視鏡的治療が適応とならない早期がんの場合は、腹腔鏡下手術を行っております。進行がんもしくは早期がんでもリンパ節転移が考えられる状態の場合は、手術療法(主に開腹手術)を行い、病理結果によって術後の抗がん剤治療が必要となることがあります。さらに遠隔転移や腹膜播種などを認める進行がんの場合は手術および抗がん剤治療を適切に組み合わせて治療を行います。食道がんなどにおいて、放射線治療が必要な際は、他院と連携して実施致します。
(それぞれの病気の詳細については、「国立がん研究センターがん対策情報サービス」が発行している以下のパンフレット等をご活用下さい)
主に大腸がんの手術を中心に行っております。ガイドラインに従い、がんの進行度、患者さんの持病・意向などを総合的に判断して、安全で質の高い診療を心がけております。粘膜内がんは主に内視鏡的切除を行い、内視鏡治療の適応とならない早期癌は腹腔鏡下手術を行います。進行癌は、手術治療(状況に応じて腹腔鏡下手術・開腹手術を選択)を行い、術後抗がん剤治療が必要となることがあります。他の臓器への転移、遠隔リンパ節転移などを認める進行がんの場合は、抗がん剤治療と手術治療を組み合わせて治癒を目指します。放射線治療が必要な際は、他院と連携して実施致します。 癌が肛門の近くにある直腸癌の場合でも、癌の根治性を第一に考えつつ、適切な術式で肛門機能の温存に努めて参ります。
(大腸癌の詳細については、「国立がん研究センターがん対策情報サービス」の資料などをご参照下さい)
虫垂炎、腸閉塞、消化管穿孔など緊急対応を要する腹部疾患に対しても、積極的に外科治療に当たっております。緊急手術でも積極的に腹腔鏡下手術を行い、身体に負担の少ない治療を行なうように努めております。
足の付け根の隙間から、内臓(腸や脂肪など)が飛び出して、痛みや違和感を生じます。 加齢に伴い、筋肉や筋膜が弱くなったり、重たい物を持つなど腹圧がかかる状態が原因で起こりやすいです。治療は手術となります。飛び出した腸などをお腹の中に戻した後に、メッシュという人工補強材を挿入して、ヘルニアの出口を塞ぐ方法が良く用いられます。
肝臓癌はこれまでC型ないしB型慢性肝炎を背景として発症することが多かったのですが、ウイスル感染予防の普及によりその数は減少しています、近年は肥満や糖尿病などの生活習慣病を背景として肝臓に炎症が起こり、肝臓癌を発症する方が増加しています。
肝臓の手術は出血が多いことや解剖に個人差が大きいことなどから、消化管手術に比べ腹腔鏡の導入が遅れていましたが、近年の道具や技術の進歩とともにその安全性が向上し、実施する施設が増えてきました。当院でも2016年から本格的に腹腔鏡下肝切除を導入し、現在は約半数の手術を腹腔鏡で実施しており、良好な結果を得ています。手術に際しては、CTを基にした肝臓の3D画像を作製して十分にシミュレーションを行い、安全で確実な手術を心がけています。
胆管癌、胆嚢癌は黄疸をきっかけに発見されることが多く、癌は小さくても手術は非常に大きなものが必要になります。胆管は肝内の細い胆管(肝内胆管)が合流して太い肝外胆管になり、十二指腸に開口しています(図.1)。十二指腸に近い胆管に発生した胆管癌には膵頭十二指腸切除が、肝臓に近い胆管に発生した癌には肝切除と肝外胆管切除が行われることが多いです。進行した胆管癌では、膵頭十二指腸切除と肝切除を同時に行う非常に大きな手術(肝膵同時切除)が行われることもあります。胆嚢癌には胆嚢摘出から肝膵同時切除まで、その進行度に応じた手術が行われます。当院ではこのように大きな手術も安全性に留意しつつ実施しています。
胆石の成人での保有率は10%程度とされ、その頻度は食生活の欧米化や人口の高齢化に伴い増加傾向にあります。 胆石は肝臓で産生された胆汁中の成分が、何らかの要因により析出することで生じます。胆石を保有していても症状がでるのはおよそ3割程度とされています。胆石に伴う主な症状には右上腹部痛、吐き気、背部や右肩に放散する痛みなどがあります。胆嚢炎を起こした場合には,これに加え発熱が見られます。胆石発作は、胆汁が胆嚢から排出されるのと一緒に胆石が押し出されて胆嚢の出口に詰まることが原因となります。胆汁は食事摂取刺激により胆嚢から排出されるため、発作は食後に多く起こります。胆石発作が胆嚢炎に進展すると、入院治療が必要になる場合が多く、その後の治療にも難渋することがあるため、症状を伴う場合には手術をお勧めします。胆石を保有していても無症状の場合には、すぐに治療を行う必要はありませんが、胆石の保有者には胆嚢癌が多く発生するという報告もあり、そのまま放置せずに肝障害がないか、胆嚢の壁に異常がないかなどを定期的に観察する必要があります。胆石の標準的な治療は、手術で胆嚢を摘出することです。現在ではほとんどの場合、手術は腹腔鏡を用いて行われ、当院でもその他の開腹手術に合わせて行う場合を除き、ほぼ100%が腹腔鏡下で行われています。
膵臓は沈黙の臓器と呼ばれ、そこに発生した癌は一定進行してから発見されることが多く、また解剖学的特徴などから他の臓器の癌に比べて大きな手術が必要となります。膵癌を治癒させるには手術は必須の治療です。当院外科では一部の血管合併切除など拡大術式も行い、進行した膵癌にも積極的に治療を行っています。一方、膵癌は手術だけでは再発率が高いということも事実で、術後には再発予防の抗癌剤治療を行うのが一般的です。
埼玉協同病院外科 手術実績 |
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | ||||
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手術 件数 |
うち 鏡視下 |
手術 件数 |
うち 鏡視下 |
手術 件数 |
うち 鏡視下 |
手術 件数 |
うち 鏡視下 |
入院手術総数(手術室施行) | 751 | 317 | 693 | 299 | 662 | 348 | 709 | 369 |
主な手術 | ||||||||
肺切除 | 21 | 13 | 22 | 15 | 25 | 20 | 34 | 32 |
悪性 | ||||||||
部分切除 | 10 | 7 | 12 | 11 | 13 | 13 | 10 | 10 |
葉切除 | 7 | 2 | 6 | 6 | 1 | 7 | 5 | |
良性 | ||||||||
部分切除 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 |
気胸 | 2 | 2 | 3 | 3 | 5 | 5 | 9 | 9 |
その他の胸部手術 | 2 | 1 | 5 | 5 | 4 | 3 | 5 | 5 |
悪性 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | ||
良性 | 1 | 4 | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | |
食道切除 | 1 | |||||||
悪性 | 1 | |||||||
良性 | 0 | |||||||
胃切除 | 29 | 14 | 22 | 5 | 27 | 4 | 29 | 16 |
悪性 | ||||||||
胃全摘 | 6 | 1 | 4 | 8 | 4 | |||
幽門側切除 | 19 | 10 | 13 | 4 | 15 | 3 | 8 | 5 |
その他 | 3 | 2 | 4 | 1 | 4 | 1 | 15 | 10 |
良性 | ||||||||
幽門側切除 | 1 | |||||||
その他 | 1 | 1 | 2 | 1 | ||||
大腸切除 | 89 | 46 | 102 | 46 | 83 | 33 | 98 | 46 |
悪性 | ||||||||
結腸切除 | 61 | 31 | 62 | 26 | 54 | 23 | 62 | 30 |
直腸切除 | 15 | 7 | 24 | 16 | 21 | 10 | 22 | 14 |
良性 | ||||||||
結腸切除 | 12 | 7 | 14 | 4 | 8 | 13 | 1 | |
直腸切除 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | |||
小腸切除 | 23 | 19 | 11 | 8 | 9 | 3 | ||
悪性 | 3 | 5 | 2 | 2 | 1 | |||
良性 | 20 | 14 | 9 | 8 | 7 | 2 | ||
その他の手術 | 254 | 74 | 255 | 214 | 32 | |||
ヘルニア手術 | 143 | 134 | 111 | 131 | ||||
虫垂炎手術 | 63 | 62 | 76 | 76 | 76 | 74 | 106 | 103 |
イレウス | 15 | 2 | 18 | 1 | 16 | |||
うち小腸・結腸切除(再掲) | (9) | (10) | (1) | (7) | (8) | (1) | ||
腸穿孔・腹膜炎手術 | 33 | 10 | 27 | 11 | 11 | 3 | 15 | 5 |
うち癌によるもの(再掲) | (3) | (10) | (3) | (2) | (1) | (2) | ||
肝切除 | 27 | 13 | 25 | 8 | 23 | 4 | 20 | 7 |
悪性 | ||||||||
部分切除および外側区域切除 | 18 | 10 | 14 | 6 | 6 | 1 | 14 | 7 |
上記以外の切除 | 9 | 3 | 8 | 14 | 1 | 6 | ||
良性 | ||||||||
部分切除および外側区域切除 | 2 | 2 | 2 | 2 | ||||
その他の切除 | 1 | 1 | ||||||
膵切除(胃切除に伴うものを除く) | 18 | 3 | 8 | 2 | 15 | 3 | 5 | |
悪性 | ||||||||
膵頭十二指腸切除 | 9 | 6 | 9 | 3 | ||||
膵体尾部切除 | 6 | 3 | 1 | 1 | ||||
良性 | ||||||||
膵体尾部切除 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | |
膵腫瘍摘出 | 1 | |||||||
胆嚢摘出 | 149 | 149 | 137 | 134 | 162 | 159 | 149 | 148 |
乳腺 | 60 | 63 | 49 | 54 | ||||
悪性 | ||||||||
乳房切除 | 24 | 29 | 16 | 23 | ||||
乳房部分切除 | 31 | 32 | 30 | 28 | ||||
良性 | ||||||||
腫瘍摘出 | 5 | 2 | 3 | 3 |
※ スクロールで表示します
栗原 唯生 [ 外科部長 ]
認定資格 |
日本外科学会外科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 日本肝臓学会専門医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん外科治療認定医 肝胆膵外科学会評議員 胆道学会認定指導医 膵臓学会認定指導医 日本消化器外科学会指導医 |
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経 歴 |
|
佐野 貴之 [ 外科副部長 ]
認定資格 |
日本外科学会外科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん外科治療認定医 日本腹部救急医学会腹部救急認定医 日本消化器外科学会指導医 |
||
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経 歴 |
|
井合 哲 [ 外科技術部長 ]
認定資格 | 日本外科学会指導医 | ||
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経 歴 |
|
市川辰夫 [ 外科技術部長 ]
認定資格 | 日本外科学会外科指導医 | ||
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経 歴 |
|
長 潔 [ 外科技術部長 ]
認定資格 | |||
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経 歴 |
|
井上 豪 [ 外科技術部長 ]
認定資格 | 日本外科学会外科専門医 | ||
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経 歴 |
|
小野 聡 [ 外科技術部長 ]
認定資格 | 日本医師会認定産業医 | ||
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経 歴 |
|
浅沼 晃三 [ 外科技術部長 ]
認定資格 |
日本外科学会専門医・指導医 日本内科学会認定内科医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本呼吸器学会呼吸器専門医 麻酔科標榜医 日本消化器外科学会専門医 消化器がん外科治療認定医 |
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経 歴 |
|
金子 しおり [ 乳腺外科科長 ]
認定資格 |
日本外科学会外科専門医 日本乳癌学会認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
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経 歴 |
|
重吉 到 [ 病棟医長 ]
認定資格 |
日本外科学会外科専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 ICD(Infection Control Doctor) 消化器外科専門医 消化器がん外科治療認定医 消化器病学会専門医 |
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経 歴 |
|
松原 浩太 [ 医員 ]
経 歴 |
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入江 直子 [ 医員 ]
経 歴 |
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鈴木 佳那子 [ 医員 ]
経 歴 |
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