埼玉協同病院

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病院の取り組み 診療実績

診療実績

2014年

埼玉協同病院では、2005年から300項目以上の医療指標を設定して、医療水準・質の面での改善課題や引き上げ目標を明確にして取り組んでいます。医療指標は臨床指標、病院指標などとも呼ばれ(QI、CIなどと表されることもある)るもので、医療の質を定量的に評価する指標のことです。医療の質の良否を客観的に測ることのできる「ものさし」にあたります。ある医療行為などを行った全対象を分母として、得られた「望ましい結果(望ましくない結果)」やそのプロセスの適切さの程度を「比率で表す」という特徴があります。そうすることで、他の施設や社会の標準と比較することができます。

1-2_転倒事故を防ぎます(2014年12月)

埼玉協同病院では、医療の質を定量的に測るための指標を300以上設定しています。測定値をもとに課題を明らかにして改善策を立てたり、実行したことが改善にむすびついているかどうかを確かめたりしながら、継続的な改善を図るためです。今回は入院患者さんの転倒事故を防ぐとりくみを紹介します。
入院中は生活環境が変化し、病気の症状や治療によって思うように体を動かせず転倒してしまう可能性があります。比較的軽症ですむ場合も多いのですが、骨折など重症の損傷となった場合にはその治療のために入院期間が長くなり、またもとの病気の治療に影響を及ぼすこともあるため、転倒予防対策はとても重要なのです。
図1は2010年1月から2014年8月までの期間で骨折等治療が必要な重症転倒件数と発生率の推移です。2012年に前年の倍以上の発生があったことで、病院全体の課題として予防に取り組んできました。今年は取り組み2年目となりますが、少しずつ件数、発生率とも減っていることがわかります。

図1 骨折等治療が必要な重症転倒件数と発生率

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今年の新たな取り組みの一つに「転倒対策カンファレンス」があります。転倒事故後、リハビリテーションスタッフや薬剤師などの専門職種が集まり、患者さんが何をしようとしてどのような状況で転倒してしまったのか、原因を専門的な立場から分析し再発防止策を出しあう検討会です。疾患の特性や患者さんの状態から転倒事故が起きやすい2つの病棟でまず開始しました。A病棟は1月、B病棟は7月より開始し、月により変動はありますが、両病棟の全転倒事故件数は少なくなってきていることがうかがえます(図2)。

図2 A病棟とB病棟で発生した全転倒事故件数の推移

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転倒対策カンファレンスは、転倒した患者さんの転倒再発防止のためですが、そこでの意見は他の患者さんの転倒予防対策に活かされます。今後は他の病棟にも広げ、また患者さんご自身にもどんな動作や状況が危険かを知っていただくためのしおり等の作成を進めています。

2-1_DPC公表データでわかること~地域での当院の役割と医療の標準化の状況~(2014年11月)

 埼玉協同病院では、医療の質を定量的に測るための指標を300以上設定しています。測定値をもとに課題を明らかにして改善策を立て、実行したことが改善にむすびついているかどうかを確かめながら、継続的な改善を図るためです。今回は公開されたDPC(診断群分類)データから当院の入院治療の状況について紹介します。
DPCというのは、全国の急性期病院の治療の状況を、病気の種類や重さや治療内容が似た患者をグループにまとめて比較できるようにしたもので、「診断名」と「処置」の組み合わせで決まっています。
図1は近隣(川口・戸田・さいたま)DPC病院の中での主要診断群(主に臓器別)ごとの患者数に占める当院患者の割合を示したものです。縦軸の高さとバブルの大きさが患者数を表し、横軸の右へ行くほど、この地域でそれぞれの臓器疾患の治療を受けた患者の多くが当院に集まっていることを表します。消化器と呼吸器、女性、泌尿器、筋骨格系の疾患は数も多く比率も高いです。皮膚疾患、精神の疾患は、患者数は少ないが地域の中での割合が高く、当院の診療機能の特徴を表しています。

図1 川口・戸田・さいたまDPC病院の患者における主要診断群別の当院患者数割合

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図2は2013年度の退院患者データのうち当院の症例数の多い20の診断群について全国のDPC対象病院の平均在院日数と比較したものです。左から淡い棒が全国の平均在院日数、濃い棒が当院です。左から在院日数の短い順に並べてみると、標準的で効率的な計画(クリニカルパス)が確立できている診断群では全国平均よりも短くなっています。全国平均よりも長い診断群もいくつかありますが、計画自体が少し長い、術後の回復経過に患者による差が出やすい、標準化が難しい疾患などです。

図2 DPC別在院日数の全国との比較

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クリニカルパスは診断や治療・ケアの内容を標準化し確実・効率的に進めるうえで効果的です。患者さんにとっては、治療がどのように進んでいくのかがわかり、治療や検査に向けての心の準備や注意する点、およその医療費についてもわかるため、安心して治療にのぞむことができます。当院には現在126種類のクリニカルパスがあり適用率(どれだけの患者さんに適用しているか、医療の標準化の指標の一つ)は43%です。患者数の多い疾患は標準化の必要性が高い疾患です。状態に応じたクリニカルパス、例えば入院から初期治療の評価までを一連の計画として標準化するなどが、今後は必要となっています。

5-1_入院中に健康づくりの第一歩を~認知機能のチェック(2014年8月)

 埼玉協同病院では、医療の質を定量的に測るための指標を300以上設定しています。測定値をもとに課題を明らかにして改善策を立て、実行したことが改善にむすびついているかどうかを確かめながら、継続的な改善を図るためです。今回は当院が加盟する全日本民主医療機関連合会の「医療の質の向上・公開推進事業」(民医連QI)のとりくみの中から、2014年1月から追加された「高齢者への認知機能スクリーニング実施割合」について紹介します。

加齢による認知機能の低下は、早期に発見してライフスタイルを見直すことで、脳の機能をかなり保つことができるともいわれています。入院の機会に認知機能低下の早期発見から予防につなげる医療的介入がきちんとできているかを測る指標です。
図1は、1~5月に退院した65歳以上の入院患者に対して簡単な認知機能のチェックを行った割合で、当院は37%、測定できた55病院の中央値は16%です。当院も含め多くの病院で不十分なことがわかります。当院では、入院時に基本的な日常生活動作ができているか、意欲の低下はないか、気分や情緒の問題はないか、記憶する能力や記憶したことを思い出す能力などについて簡単な質問をします。入院生活上のどんな注意が必要かだけでなく、退院後の生活の見直しが必要な方のチェックという意味もあります。患者のみなさんは、どんなことに気をつけたらよいかをぜひ質問してください。医療生協がすすめている健康づくり・HPHの視点からも健康的な生活に変えていくきっかけづくりでもあるのです。65歳以上の比率は約6割と多く、高い割合で実施できている他病院のとりくみなども参考にし改善につなげていきたいと思います。

※HPH(Health Promotion Hospital & Searvice)WHOの創設した健康増進活動拠点病院。受診や入院は日常の生活習慣を見直し健康リスクを軽減する動機づけのチャンスであることから、人々の健康増進において病院には大きな役割があるという考えに基づく。

図1 指標24:高齢者への認知機能スクリーニングの実施率

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7-4_医療の質改善~整形外科の指標(2015年2月)

埼玉協同病院では、医療の質を定量的に測るための指標を300以上設定しています。測定値をもとに課題を明らかにして改善策を立てたり、実行したことが改善にむすびついているかどうかを確かめながら、継続的な改善を図るためです。今回は整形外科領域の質改善の指標について紹介します。

整形外科領域の質指標には、地域の医療機関からの紹介数、難易度の高い手術の実施件数(股関節・膝関節置換術、脊椎の手術)、術後の感染症予防、後期高齢者における大腿骨頚部骨折後の再歩行獲得率などがあります。
紹介数は、地域の先生方からの信頼を測る指標といえます。図1は4年間の紹介数の推移をみたものですが、紹介数は年々増え、県外からおいでになる患者さんもいらっしゃいます。地域の先生方との信頼関係を大事にして連携して進めることがなによりも患者さんの利益につながると感じています。

図1 整形外科紹介受入件数の推移

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難易度の高い手術件数を図2に示しました。人工股関節手術は埼玉県内で最多、膝関節手術においても県内で有数の手術数となっています。難易度の高いとされる人工関節や脊椎の手術はそれぞれの専門医が手術に対応しており、特に人工関節の手術はコンピュータ手術であるナビゲーションシステムにより正確な手術を心がけるとともに、最小侵襲手術(MIS)や、可能な限り術前からのリハビリテーションを行うなど術後の早期回復にも努めています。人工関節は体内に埋め込むため手術部位に感染が起こると治りにくく、感染予防には最大の注意を払っています。厚生労働省が実施している院内感染対策サーベイランス事業の集計値で0.8%の手術部感染が報告されていますが、当院は0%で感染を予防できています。

図2 難易度の高い手術件数

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高齢者の転倒によって起こる大腿骨頚部骨折は寝たきり生活になる大きな原因の1つであり、治療後にまた歩けるようになることはとても重要です。大腿骨頚部骨折で手術を受けられる方のうち後期高齢者(75歳以上)は24%、4人に1人の割合です。受傷前に歩行可能であった人が、手術後に歩行可能に回復できた人の割合は、回復期リハビリ病棟との連携で7割となっています(図3)。
転倒を予防する体力づくりや認知機能の維持にとりくむことはますます重要になっています。

図3 75歳以上大腿骨頚部骨折患者の再歩行獲得率

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