機能評価診療実績

診療実績 2012年

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医療の質の改善 2012年 測定値

0-1_病院同士で同じ「ものさし」を使って医療の質を測る(2013年7月)

「医療の質を定量的に測るものさし」(臨床指標または医療指標)を用いた改善活動は、今ではずいぶんと多くの病院でとりくまれるようになりました。その促進要因のひとつに、厚生労働省が2010年から実施している「医療の質の評価・公表等推進事業」があり、これまでに6つの団体が委託協力団体となっています。

今回は、埼玉協同病院が参加している全日本民医連と日本病院会の同じ指標から、どんなことがわかるのかを紹介します。
グラフは「退院後6 週以内の緊急再入院割合」です。図1 が病院会(145病院)、図2が民医連(81病院)です。入院患者のほとんどは、完全に治って退院するわけではなく、外来通院で経過観察や症状コントロールが可能、介護や定期的な訪問を受けながら療養ができるなどと判断した状態です。退院後の療養生活での何らかのトラブルや、食事や薬も入院中のようにはいかず症状が悪くなってしまうなどで再入院になってしまうことがあります。退院から6週間(42日間)の緊急再入院は、退院療養計画が実行可能だったのかも含めて前回の入院治療の達成度合いを表す指標のひとつとされています。
病院会(図1)の平均は5%台で、参加病院の半数が4~6%の範囲です。一番低いところは1%、高い病院は10%以上のところもあります。民医連(図2)のデータは2011 年(うすい棒))と2012年(濃い棒)のセットが1つ1つの病院です。病院会と比べると低くなっていますが、十分説明されて入院が予期されていたケースを除いていますので団体間で差があるわけではありません。見ていただきたいのは、ほとんどの病院が2012年は高かったが2013 年は低下していることです。2013年はまだ4ヶ月分ですが、全体としては2012年の半分程度となっており、改善にとりくまれていることがわかります。当院は図1 ではちょうど平均値、図2では低い方(左)から3 分の1 ほどです。それぞれの病院が自院より少ない病院は何が違うのか、どんな工夫をしているのかなどを知って自院の改善を図ることで、会全体として質をあげることにつながります。
これらのデータは各団体のホームページで公表されており、指標の意味なども解説されていますので、ご覧になってみてください。

0-2_医療の質を改善するとりくみ~病院機能評価(2013年6月)

今回は、2012年12月に行われた病院機能評価(Ver.6)の訪問審査の結果について紹介します。
病院機能評価は(財)日本医療機能評価機構が行っている病院を対象とした第三者評価で、2013年4月11日現在で2403 の病院(8580 病院中)が認定されています。埼玉協同病院は、1998年2月に全国で28番目に認定されて以来、今回3度目の更新審査を受け、引き続き認定されました。
第三者評価は、客観的・公正な立場から、世の中の水準に照らして評価します。受審の準備を通して、病院の基本理念にもとづいて医療を提供できる病院のしくみや運営と、日々それが実践できているかを、評価項目にそって自己点検し、課題を明らかにして改善することがとても大事なのです。世の中の水準も上がっていく中で、前回とほぼ同レベルの評価が得られたことは、継続的な維持改善のしくみが運用できている成果と考えています。
図に評点の状況を示します。病院機能評価は6つの領域を200の中項目(5 段階評価)と574の小項目(3 段階評価)によって評価し、1 つの中項目に対して小項目がすべてa評価の場合に4評価(「適切に行われている」「積極的に行われている」)となります。その中で特に優れ全国に広めたいとりくみがある場合に5 評価となります。今回は残念ながら5はありませんでしたが、4 評価が159(80%)、a評価が523(91%)と、前回とほぼ同程度の評価を得ることができました。特に「3 快適な療養環境と患者サービス」では、床、壁の改修やプライバシーの配慮や案内機能の見直しなど、療養環境を改善し、すべての項目で4 評価となりました。「4 医療提供の組織と運営」では、看護師の段階的育成や認定看護師の配置による看護の質改善や、救急医療の強化、ICU(特定集中治療室)の運用、放射線診断機能の充実、「1 病院組織の運営と地域における役割」で禁煙の推進を強めてきたことなどは前回から前進した部分です。クリニカルインディケーターを用いた継続的な質の改善活動は、引き続き高く評価されました。
一方で、課題も明確になりました。患者の権利の学習や、臨床で問題となる倫理的課題の解決のしくみ、チーム医療の基盤であり患者との情報共有の前提となるわかりやすい医療記録の整備などです。今年度の課題に位置づけてとりくみを開始しました。

0-2_医療の質を改善するとりくみ~病院機能評価(2013年6月)

今回は、マイかるての利用状況と患者図書室や健康らいぶらりの利用状況についてです。
当院は、2011年8月より自分のカルテを確認できる「マイかるて」の運用を進めてきました。患者が自身の病状や治療の状況・情報を医療者と共有し、療養の主体者として専門家と協力してよりよい治療をすすめていくためのものです。2012年9月には入院中の方にも利用していただけるようになりました。小児科通院中の方は保護者(親権者)の方が登録していただくことでパスワードを発行しています。
図1は、2012年1月からの登録者数(パスワード発行した数、黒棒)とその累計(折れ線)、ひと月の利用数(白棒)です。10月、11月には病院利用委員会や地区支部長会議で呼びかけて登録していただいたことで登録数、利用数とも増加しました。2011年8月からの登録者の累計は2013年1月末時点で174人になりましたが、まだまだお知らせが行き届いていない状況です。
図2は、患者図書室の利用状況(図書の利用とインターネット利用)、健康らいぶらりに設置してある情報タッチパネルの利用状況です。情報タッチパネルは、多くの方が一度に数ページ以上ご覧になりますので、10ページあたりの利用数で表しています。説明された病状や検査、手術などの理解の手助けにしていただくためのものです。患者図書室の利用数は、利用される方に所定の用紙に○をつけていただく方式でカウントしていますが、先月、断面調査したところ、この3~4倍の方が利用されていることがわかりました。

1-1_患者満足度と職員の意識調査(2013年5月)

今回は患者満足度についてです。患者満足度は、医療提供の結果を測る代表的な指標のひとつで患者の期待水準との差を示しています。常に改善していなければ満足度は下がっていきます。
図1、2 は各質問項目について、左から「そう思う」「どちらかというとそう思う」「どちらでもない」「どちらかというとそう思わない」「そう思わない」の5 段階での回答数の割合です。実線で囲んだのは前回(2011 年)よりも下がった項目、点線は上がった項目です。
退院患者では「10 退院時に払うおおよその費用は事前に知らされていた」が前回低かったことから、入院時にお渡しする計画書で費用の概算をお知らせするとりくみを強めてきた結果と考えています。しかし13 項目中11 項目で前回より低く、改善すべき点がたくさんあることがわかりました。「7 食事」は、前回からも、また全国の医療福祉生協の平均と比べても低い満足度でした。具体的な不満足点を広く調査するなど検討中です。外来の「8 待ち時間」もひきつづきの課題です。
図3 は、患者満足度と同じ項目についての職員の回答を比べたものです。「そう思う」と「どちらかというとそう思う」を足した割合を示したものですが、全項目で職員の評価が低くなっています。患者満足度が比較的高い項目でも職員はまだまだ改善が必要と感じていることの現れです。このような問題意識といただいた評価を原動力として改善をすすめていきます。

1-2_転倒・転落事故を防ぎます(2013年12月)

埼玉協同病院では、医療の質を定量的に測るための指標を300 以上設定しています。測定値をもとに課題を明らかにして改善策を立てたり、実行したことが改善にむすびついているかどうかを確かめたりしながら、継続的な改善を図るためです。今回は入院患者さんの転倒・転落事故に関する指標と改善のとりくみを紹介します。
当院では転倒件数、そのうち治療を必要とする転倒・転落件数とそれら発生率などを調査しています。
転倒・転落事故は外傷のほか、骨折や脳挫傷を起こす可能性もあり、生活に障害を残す場合があります。入院の原疾患の他に治療を要し入院期間が長くなり、また原疾患の治療自体にも影響を及ぼすこともあります。そのため転倒・転落事故は予防しなければなりません。
図1 は2010 年1 月から2013 年9 月までの期間で骨折等治療が必要な重症転倒件数と発生率推移を示しています。2012年は前年4件のから11件と倍以上の件数があり2013年も9件で発生率も高くなっています。この結果は病院全体で問題視し、課題として予防に取り組んでいます。
入院患者さんには「転倒・転落危険度評価同意書」を入院時に記入して頂いています。これは医療スタッフが転倒リスクを把握するためと患者さんご家族に転倒の危険性を理解していただく目的があります。入院中は生活環境が変化し、病気の症状や治療の過程によって思うように体を動かせず転倒してしまう可能性があります。医療スタッフは安全に入院生活を過ごす援助に努力しておりますが、患者さんご自身も御協力や注意お願いします。
図2 は2012年、2013年転倒患者の「転倒・転落危険度評価同意書」から危険要因をチェックされた該当数を示したものです。転倒歴や身体に不自由があると転倒する可能性が高いようです。転倒事例によって患者さんの病態や状況はさまざまであるので医療スタッフは重症に至る事故につながる要因を分析し、評価を活かした患者さん個別の対策に取り組みが必要です。
各部門で安全管理の活動を進めるリスクマネージャーの会議では「転倒予防」、「重症化を防ぐ」、「患者さんへの注意協力よびかけ」の3つのチームに分けて検討しています。多職種で構成されたチームで、それぞれの専門性を発揮した取り組みで転倒事故を減らす活動を進めています。

3-1_職業やタバコ、お酒の量を聞くのはなぜ?(2013年10月)

今回は、診療・ケアを適切に提供するうえで最も基本的な情報の記載欄である「患者プロファイル」への、「職業歴」「喫煙歴」「飲酒歴」の記載率について紹介します。
埼玉協同病院では入院の際や健診受診時などに、ご家族のことや現在の仕事とこれまでの職歴、生活習慣などについてうかがっています。現在の健康状態との関係を考えていくために大切な情報となり、医療スタッフが必要時いつでも確認できる情報として記載しておくことが大切です。
職業に関係した病気は、じん肺や振動病などが有名ですが、比較的最近ではアスベストと中皮腫、印刷業と胆管がん、原子労働者の放射線被ばくが問題となっています。また、変則勤務による不規則な食事や睡眠時間の変動、長時間労働、職業ストレスあるいは対人ストレスなどを生み出す勤務形態・職場環境や、長時間同じ姿勢を強いられる作業環境など、現在起こっている健康上の問題が、過去から現在の労働や生活の中にその原因が隠れている場合があります。その原因をとりのぞいたり軽減したりして健康問題の解決をはかるためです。まだまだ十分とはいえませんが、図のように少しずつですが記載が進んでいます。
WHO(世界保健機構)は5 つの健康を害するリスク要因として栄養不良、肥満、運動不足、喫煙、飲酒をあげています。喫煙がリスクを高める病気として、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、子宮頸がん、心筋梗塞など虚血性心疾患、腹部大動脈瘤、ほかに糖尿病や胃潰瘍、不妊などのリスクが高くなることも知られています。毎日喫煙する人だけでなく、受動喫煙する人にとっても問題です。また、適量を超え健康を害する飲酒は、急性または慢性のアルコール中毒、アルコール性肝炎・膵炎の原因となり、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝がん、大腸がんや乳がんの原因となると注意喚起されています。
おひとりおひとりの大切な情報を健康づくりに役立て、健康で安心して働ける職場づくり・環境作りを考えたり、生活習慣を見直したりすることで地域まるごと健康づくりをすすめ、医療サービスの質の改善を行う病院づくりに取り組んでいます。

3-2_救急外来におけるトリアージ(2013年2月)

今回は救急外来におけるトリアージについて紹介します。当院では、2012年4月より診療時間外の救急外来に来院された方(小児は除く)についてトリアージを行っています。
トリアージというと人材・資源の制約の著しい災害医療において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定することで知られています。しかし救急外来での優先度決定も広い意味のトリアージで「識別救急(しきべつきゅうきゅう)」とも言われています。
具体的には、医師の診察前に看護師が患者の症状の聞き取りと容態の観察をもとに最緊急・緊急・非緊急を指定のチェック項目に従って評価しています。最緊急と判断した患者は早く診察し、非緊急の患者は順番で診察します。これによってより重症の方を早く診察につなぐことが可能となります。時間外の救急外来患者に対するトリアージ率は、4月には62%でしたが11 月には84%と上昇しており、安心して診察を待っていただけるよう努めています。
優先度を適確に判断するためには、経験や知識・力量が求められるため、トリアージの的確性を測定し力量を高めることはとても重要です。オーバートリアージは、最緊急・緊急と判断したが入院せず帰宅できたケースで、喘息など、緊急度は高いが治療後は帰宅できるケースが含まれます。アンダートリアージとは非緊急と判断したが入院治療が必要だったケースの割合で、優先度を低く判断してしまったことを意味します。8月までは5~8%と高めでした。チェック項目の見直しや看護師のスキルアップを行い、11月には3%まで低下しました。1%未満を目指しさらに精度を高めていきます。

3-3_最期まで安心して自宅で生活するために(2013年8月)

今回は、在宅医療の質改善のとりくみについて、紹介します。
当院は、病院開設当初から訪問診療を行っています。ここ10年ほどで、何らかの医療処置を行ないながら介護される方や、がんや高齢終末期の方も増えています。
人口動態調査では、1980年を境に病院で看取る方の割合が増え、約8割にも及んでいます。しかしながら、今後超高齢化社会で「多死時代」を迎える日本で、病院数は減少し、いわば「看取る場所のない」方が2030年までに倍増するであろうと推定されています。一方で、ある調査では、「住み慣れた自宅で死にたい」という人が7~8割というデータも出ています。

2008年には、訪問診療を行っている患者の85%の方は病院で最期を迎えられましたが、ここ2年間は約6割にまで増加しています(図1)。訪問診療を開始する際に、ご自宅で最期のときを迎える場合の不安や疑問におこたえする中で、最期までご自宅で生活したいと希望される方も増えてきました(図2)。「自宅で亡くなると警察が介入してくるのではないか」「亡くなる時に苦しむのではないか」などの多くの疑問に1つ1つお答えしながら、苦痛を緩和し、ご本人、ご家族を支援してきた結果と受け止めています。また、在宅で支える訪問看護や介護支援事業所とも打ち合わせを密にし、患者様の情報を共有しています。2011年度に在宅で亡くなった方26名のご家族にアンケート調査をした結果も、全員の方に「自宅で看取れて良かった」とお答えいただきました。
核家族化が進む中、地域のコミュニテイを広げ、住み慣れた場所で「生きていて良かった」と思えるような支援を今後も続けていきたいと思います。

6-1_早期発見早期治療には二次精査が大事(2013年9月)

今回は、早期発見早期治療を目指したがん検診のとりくみについて、紹介します。健康増進センターでは、皆さんに定期的な健康診断受診を呼びかけています。当院で健康診断を受けられる方は毎年27000~28000 人いらっしゃいます。そのうち約4 割がD判定以上の精査が必要な方で、健康増進センターでは手紙や電話などで結果をもって受診に来ていただくようお勧めしています。特にここ数年間は胃がん、大腸がん、肺がんの発見とその精査に取り組んできました。図1 は、総合判定とがん検診のD判定以上の方の精査率です。2011年と2012年を比較すると大腸がん検査以外は二次精査を受けた方が増加しています。皆さんの健康への意識が高まっているものととても嬉しく思います。
次にがん検診の発見率についてです。全国のがん発見率(2010年)と当院の2012年のがん発見率を比較(図2)したところ、乳がん以外、低い結果です。着目戴きたいのは大腸がん検診です(図3)精査率は2 割にとどまっており、「がん」がみつかった人でも、早期での発見は2011年が5割、2012年が6 割でした。進行がんと診断された方の中には、前年、前々年の検診でも要精査だったにもかかわらず放置してしまった方々が見受けられました。症状が重くなってから病院へ行くのでは身体的にも経済的にも負担は大きくなるばかりです。早めの精査が、がんの早期発見・早期治療につながります。

症状がない時から定期的に健康診断を受けることが重要なのは言うまでもありませんが「健康診断当日に受診さえすればよい」ということではなく、健康診断の結果は必ず確認して下さい。そして「検査が必要」となった場合は、すみやかに医療機関で必要な検査や治療を受けることが大切です。精密検査の結果異常なしと診断される場合もありますが、自己判断はせず医師の診断を受けていただくようお願いします。

7-3_胆道処置後の合併症を減らすとりくみ(2013年1月)

消化器内科では、内視鏡による胆道系の検査や処置を行っています。胆道系の処置の目的として、①閉塞性黄疸の減黄、②胆管炎の治療、 ③胆管狭窄部の診断および治療、 ④肝内結石,総胆管結石の経皮的治療、などが挙げられます。
①の閉塞性黄疸の原因としては、癌や結石によって胆汁の流れが悪くなる結果、胆道に細菌感染を起こしやすい状態になり、しばしば②の胆管炎を併発します。胆管炎を放っておくと急激な経過をとり、ショックや意識障害を伴う重症胆管炎へ移行し、命に関わりますので、早急な減黄減圧処置が重症化防止に必要です。減黄減圧処置として、内視鏡的処置による減黄方法(胆道にチューブやステントを留置)と、皮膚から直接肝臓内の胆管(胆汁が流れている管)や胆のうにチューブを挿入し、体外に胆汁を流す方法があります。埼玉協同病院でもこれらの治療を多数例行っています。2010年から2012年10月までの件数の推移は以下のようになります。

胆道系処置の件数は年々増加傾向にあり、処置件数が増加すれば合併症の発症率も増加するリスクがあります。当院では、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)後に合併症として起こりやすい術後膵炎等に対し、膵管ステントを留置することで合併症発症の件数を抑えることができています。

8-3_医薬品副作用被害救済制度を活用しましょう(2013年4月)

今回は、当院が加盟する民医連の医療指標の1 つでもある「医薬品副作用被害救済制度申請数」について紹介します。
当院では、副作用の発生を把握するとともに、対象患者の方には制度についてお知らせし救済を受けられるように支援する取り組みを行っています。1996年から始まった救済申請は、現在までに33件になっています。医薬品の副作用によって入院治療が必要となった方は、2011年24人、2012年は16人ですが、まだまだ多くの被害者の方がこの制度を利用できていない現状です。
医薬品の副作用被害救済制度は、スモン訴訟など多くの薬害被害者の犠牲とたたかいの結果、薬事法改正とともに勝ちとられた制度です(1979年)。本来、医薬品による副作用は起きないことが望ましいですが、副作用を予見する可能性には限界があります。そのため医薬品の使用にあたっては、「適正に使用したにもかかわらず発生してしまった副作用被害で、第三者にその賠償責任を追及できない健康被害」に対して、医薬品医療機器総合機構 (PMDA)の救済給付が受けられます。給付費用は、医薬品製造販売業者の拠出金でまかなわれ、給付は医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金および埋葬料があります。請求は、被害を受けた本人(遺族)が、請求書と添付資料(診断書等)を機構に送付し判定を受けます。医薬品や副作用の程度により救済の対象とならない場合がありますが、医療費等の請求はその支払いから5年以内が期限(2008年4月30日以前は2年以内)となっています。
2012年3月には、患者が直接医薬品の副作用を報告する制度も始まっています。「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の提言を受けて創設されたものです。ぜひ活用してください。

9-3_病院の医療活動を円滑に進めるために~事務部門の業務(2013年11月)

病院には患者さんの診療やケアに直接かかわる専門スタッフのほかに、病院の医療活動を円滑に行うために必要な、さまざまな業務を担うスタッフがいます。それぞれが、病院全体でよい医療が提供できるよう努力しています。今回はその中で、職員の働きやすさに関する指標と改善のとりくみを紹介します。

図1は有給取得率と超過勤務の状況(180単位は45時間)、図2は健康診断で異常が認められた職員のフォローの状況です。数年単位でみると改善しているのがわかります。たとえば健康診断後のフォローは、受診の案内や根気よく声をかけ続けるなどの努力が数値の変化につながっています。
図3のグラフは救急車の受け入れ数とそのうち入院した患者数、職員一人あたりの医療収益を見たものです。同じ職員数でもより多くの患者さんの診療をすると高くなります。少し前に、深刻な医師不足が大きな社会問題になりました。診療が継続できなくなった病院もあらわれ、2007年12月には厚労省から医師や医療関係職と事務職員等の間等での役割分担を推進する文書が出されました(医政局長通知)。埼玉県は人口10万人あたりの医師数が全国最下位、トップ県とは2倍の開きがあります。当院ではそれまでも事務職員はさまざまな管理運営や調整業務などを担っていましたが、2008年から医師の補助的業務をさらに進めて医師が診療に専念できる体制を広げてきました。これを医師アシスト業務(医師事務作業補助)と呼んでいます。診断書や証明書、情報提供書などの書類作成、他施設と連携するのに必要な様々な調整、症例検討のため資料作成、学会関係のデータ登録や調査なども含め事務職員がこれらの大部分を補助できれば、医師が診療に専念でき、患者さんの利益につながります。こうした補助業務の質と量の結果が、救急車や入院患者の受け入れ、収益の増加といった変化として目に見えることで、職員の達成感にもつながっています。

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