院内部門輸血検査室

輸血検査室

輸血は、出血や病気により血液中の赤血球などの細胞成分や、凝固因子などの蛋白質成分の減少時に成分を補い、臨床症状を改善するために行われます。
献血により作られた「輸血用製剤」と患者さん自身から採血する「自己血」とがあります。当院では、安全性の高い適正な輸血を実施するため夜間・休日24時間体制で検査対応しております。

輸血検査機器(Autovue Innova)

血液型検査
不規則抗体スクリーニング、間接抗グロブリン試験
交差適合試験

輸血用製剤

照射赤血球液-LR

急性あるいは慢性の出血に対する治療および貧血の急速な補正を必要とする場合に投与されます。

新鮮凍結血漿-LR

凝固因子の欠乏による病態の改善のため投与されます。

照射濃厚血小板-LR

血小板数の減少また血小板の機能異常により重篤な出血があった場合に投与されます。

自己血

自己血輸血は、待機手術また採血基準が満たされた方が適応となります。手術前に2~3回採血を行い、手術中や手術後に輸血を実施します。献血により作られた輸血用製剤によって引き起こされる副反応を回避することができます。
(ただし、自己血輸血でもすべての副反応を回避することはできません)当院では、患者様に安心して自己血輸血を受けていただけるよう自己血学会認定の医師、看護師を中心に協力して行っています。

輸血に関する検査:輸血前検査

  • 血液型検査
    輸血時に必要不可欠な検査です。
    ABO式・Rh式血液型の検査を行っています。
  • 不規則抗体のスクリーニング
    不規則抗体は規則的に検出されるABO式血液型抗体以外の赤血球抗原に対する抗体のことです。輸血や妊娠などにより作られ、副作用を引き起こします。これらの抗体による不適合輸血を防ぐために行う検査です。
  • 交差適合試験
    輸血前に行う検査です。供血者(血液製剤)と受血者(輸血を受ける方)の適合性を調べます。ABO式血液型と不規則抗体スクリーニングを並行して行っています。
  • 直接抗グロブリン試験
    身体の中ですでにIgG抗体(又は補体)が赤血球に結合しているかどうかを調べます。主に、自己免疫性疾患や新生児溶血性貧血などの診断に有用です。
  • 間接抗グロブリン試験
    血清中に赤血球抗原に対するIgG抗体が、遊離の状態で存在しているかどうかを調べます。

輸血後感染症検査について

2004年に改訂された「輸血療法の実施に関する指針」においてHBV、HCV、HIVの3項目について輸血後感染症検査を実施することが推奨されてきました。しかし、2014年に輸血用血液製剤に対する個別NAT検査の導入により、これらの感染症は大幅に減少しました。これにより、日本輸血・細胞治療学会から以下の考えが示されました。
①HBV、HCV、HIV輸血後感染症検査は、従来から感染が疑われる場合に実施する検査とされており、医療者の負担、費用対効果の面から考えても輸血された患者全例に実施する検査ではない。
②輸血にいってHBVに感染した3名の患者の基礎疾患は、悪性リンパ腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群であったことから、病原体の感染が患者に大きな影響をもたらす場合(基礎疾患や治療抑制状態の患者や輸血後感染症になった場合、治療法が限定、変更される可能性がある患者)に担当医師の判断で輸血後感染症検査を実施してもよい
③輸血前検体保管は全例で実施すべき
④輸血後感染症検査の実施率を病院の機能に対する機能評価に用いない

同学会の通達を受け、当院でも輸血後感染症検査については担当医が必要と判断した場合のみ実施する方針と致します。検査を希望される場合は担当医にご相談ください。

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