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患者さんの「機能」を支える ―耳鼻咽喉科の魅力
専門医シリーズ36
堤内 亮博 医師
プロフィール
<認定資格>
◯耳鼻咽喉科専門医
◯補聴器相談医
◯難病指定医
◯身体障害者15条指定医
(聴覚障害 平衡機能障害 音声言語機能障害 そしゃく機能障害)
◯耳鼻咽喉科専門研修指導医
<経歴>
2007年 東京大学医学部医学科 卒業
2011年 埼玉医科大学病院本院 耳鼻咽喉科助教
2012年 三井記念病院 耳鼻咽喉科医員
2015年 東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科特任臨床医
2016年 国立国際医療研究センター 耳鼻咽喉科フェロー
2018年 国立国際医療研究センター 耳鼻咽喉科医師
2023年 埼玉協同病院
東京都西東京市で育った堤内医師。医師だった父親の仕事に興味を抱いてきたこと、そして漫画「ブラック・ジャック」が大好きだったことから、小学校の卒業文集には「将来は医師になりたい」と書いていました。
外科医として「手を動かす仕事」を
医師となり専攻を選ぶ際、耳鼻咽喉科医である父親からは「耳鼻科医にはなるな」と言われました。「耳鼻咽喉科は、患者さんにすぐに治療効果を実感してもらえる医療を行う、しかしマイナーな外科でもあります。父親は私に、一般外科・内科などよりメジャーな分野で活躍してほしいと期待したのかもしれません」
外科医として「手を動かす仕事がしたい」という変わらぬ思いがあり、呼吸器外科と悩んだ末、耳鼻咽喉科の道を選びました。耳、鼻、のど、頸部などさまざまな器官・部位を扱う耳鼻咽喉科は、外科治療から内科的管理まで幅広い知識と手技が求められ、また細分化された専門領域をもつ分野です。「耳鼻咽喉科全般での経験を積み、そのうえで極めていく専門領域を時間をかけて絞っていけるこの科のシステムも私に向いていました。レストランでメニューをなかなか決められない、少し優柔不断なタイプでもありまして・・・」
「機能外科」としての耳鼻咽喉科の魅力
堤内医師の専門は、耳科手術。顕微鏡で耳の中を覗きながら、1ミリほどの骨を組み立て直すなど、緻密な技術が求められる領域です。「難しいけれど性に合っています。耳科手術が専門であった三井記念病院時代のボスに憧れて選びました。私の適性を見抜いてよく指導してくださったのだと思います」
耳鼻咽喉科の魅力のひとつは「機能外科であること」と堤内医師は言います。例えば鼓膜の穴を塞ぐ手術をして聞こえるようにする、鼻腔が曲がっていて息が苦しい人に手術をしてスムーズに通るようにするなど。「機能外科とは、機能に直結する部分を作り直すイメージです。患者さんたちは、まるで世界が変わったみたいだとその効果を実感し喜んでくれます。大きなやりがいです。幼い頃、耳鼻咽喉科医の父親から聞いたそういった手術の話が、私の目指す医療のベースになっていると思います」
認知症リスクにつながる「難聴」
今、認知症のリスクとして、難聴が注目されています。「加齢性難聴自体の治療は確立されていませんが、補聴器を使うことで難聴をある程度是正でき、認知機能の低下を遅らせることができます。認知症リスクの中で、難聴は比較的対処可能な要因です」
実際には、「聞こえにくさ」があっても受診に結びついていない方、また適切に補聴器が使えていない方も多いと感じています。「認知症との関連、補聴器使用の必要性など、医学的な立場からお話しできるのが耳鼻咽喉科です。ぜひご相談ください」
埼玉県は耳鼻咽喉科が少ない?!
堤内医師は、埼玉協同病院に2023年に赴任。埼玉県は人口に対する耳鼻咽喉科医数が全国の平均以下です。「近隣の耳鼻咽喉科クリニックでも予約が取りづらいという情報があり、耳鼻咽喉科医の不足を実感しています。これまでは遠くの大学病院に行かなければできなかった少し難しい耳の手術も今後、地域内の病院で行えるなど、私が培ってきたスキルを生かした医療を提供できればと思っています」
自転車が趣味です。「自転車で100キロ、200キロを走ります。埼玉の西側はいろいろな峠があるから、ヒルクライムに挑戦しています。一人で黙々と峠をのぼる、それがストレス発散の秘けつです」。通勤ももちろんロードバイク、今日も颯爽と病院に到着です。
【患者さんへの一言メッセージ】
耳鼻咽喉科は、中耳炎やアレルギー疾患など限定したイメージがありますが、首から上の病気(目と脳以外)を広く診察しています。耳・鼻・喉などの症状を気軽に相談してください。
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