専門医シリーズ

胆膵内視鏡診療という大きな山を見上げ、挑む

専門医シリーズ39

開原 英範 医師

プロフィール

<認定資格>
日本専門医機構 内科専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
臨床研修指導医
<経歴>
2018年 帝京大学医学部卒業
2018年 埼玉協同病院勤務

広島県出身の開原医師。中学・高校時代は将来の夢が描けずにいました。部活は茶道部と野球部。「茶道部はお菓子が食べたかったからです。野球部は、祖父が広島東洋カープのプロ野球選手だったので(藤井弘氏)、私も野球少年でした」。高校生の時、その祖父が不整脈で倒れ救急搬送されます。「適切な処置を受けて、祖父はまるで何事もなかったように元気に歩いて退院してきました。こんなすごい仕事があるのか!と感動し、医師になりたいと、初めて将来への明確な希望が湧いてきました」 東京の医大に入学。「宙ぶらりんだった中高時代を取り返すかのように、医学の勉強にのめり込みました」

埼玉との衝撃的な出会い

卒業を控え、これから医師としてどこで働くかを考えました。「関東にもう少し残ってみよう、そして医師が足りないところで働きたいと決めていました。東京の隣の埼玉県は医師の数が足りないらしい。これまでまったく縁のなかった埼玉県に目が向くことになります」
埼玉県の病院の合同説明会で出会ったのが、埼玉協同病院の守谷能和医師でした。「病院の見学に来てみる?とかではなくて、いきなり君の見学日はこの日だから来てね!ついでに、病院近くの美味しいパスタ屋さん紹介するから!と言われて。なんだこの先生は?! と衝撃を受け、見学に行きました。今、守谷先生は私の上司です。パスタにはまだ連れて行ってもらっていませんが…」

胆道・膵臓領域の内視鏡に魅せられる

大学時代から志していた消化器内科医の道へ進み、内視鏡診療に精力的に携わる毎日です。開原医師は消化器内科のなかで、主に胆道・膵臓領域の診療を担っています。消化器内科領域は内視鏡が診断・治療に大きな力を発揮しており、胃カメラや大腸カメラなどがよく知られています。胆道・膵臓領域ではEUS(超音波内視鏡)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)など、超音波やレントゲンを使った少し特殊な内視鏡が用いられます。「胆道・膵臓領域に取り組むことになったのは、科内の人員のバランスにすぎなかったのですが、画像も決してわかりやすいわけでなく、細かい高度な手技も必要とされるこの領域の内視鏡診療の世界が私の性に合っていました。高いハードルの、その先にある奥深さに強く魅せられている…そんな感じでしょうか」
胆道・膵臓領域の内視鏡治療の特徴の1つは、時に劇的な救命をもたらすことです。「胆石が詰まって、ショック状態で救急搬送されてきた患者さんが、内視鏡でワイヤーを使って胆石を取り除くことで、血圧を上げる薬も不要になって歩いて帰って行かれるのです。放っておいたら失われたかもしれない命をつなぎ止められた、大きなやりがいを感じる瞬間です」
処置には、内視鏡を操作する医師のほかに、診療放射線技師、看護師、看護助手、臨床工学技士など多職種のチームワークが欠かせません。「医師の内視鏡テクニックがあればいいわけではない。さまざまな職種が力を出し合ってできる医療であることを日々痛感しています」

自分の力を尽くしたいフィールドにいる

医師8年目。引き寄せられるように出会った埼玉は気に入りましたか?「夜、仕事の帰り道に蛙の声が聞こえてくるような病院周辺の環境に、落ち着きと愛着を覚えています。一方で外来にも救急にも、驚くほど多くの患者さんがやってこられます。必要とされるところで、自分の力を尽くしている実感があります。これからも胆道・膵臓の内視鏡医としての力をもっとブラッシュアップさせて、日々の診療の質を上げたいという希望を持っています」
家に帰れば、0歳の赤ちゃんの新米パパ。仕事に育児にますます忙しくなりそうですね。

【地域の皆さんへ一言】
消化器内科は、食道から肛門までの消化管、肝臓・膵臓など幅広い臓器を診療しています。腹痛、吐き気、食欲がない、便の色がいつもと違うなど、気になることがあればぜひご相談ください。

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